《コラム》不可解な二線提のあり方を考える!その2~宮城県山元町~


いったい何が問題なのか?
人の命や営みを守るべき堤防が、人殺しの道具になっている。

そもそも一線提(L1)では、東日本大震災クラスの津波を防げない。
あふれた海水は二線提(L2)で湖をつくってしまう。
基本的には、一線提と二線提の間には人が住まないという前提があります。

県道亘理相馬線を嵩上げし、二線提の役割を持たせるため高盛土道路の計画をすすめました。
しかし、山元町は宮城県が示した3通りの計画の内、最悪のパターンを選びました。
残った家を払いのけ、邪魔な在宅被災者を海に追いやり、一線提と二線提で挟んでしまいました。
県が示した計画にはもっと海側を通り、残った集落を守る計画もありました。
ほんのわずかな区間を、人の命を守るために海側に寄せるだけでこの問題は起きなかったのです。

海側に取り残される家には、子供がいます。高齢者もいます。
家屋を修繕して暮らす人たちを、どんな理由があって追い詰めるのでしょうか?
巨額の税金を使った、壮大な人殺しの計画です。これは事件です。

誰かが間違っていると言って、白紙撤回させるしかありません。
ただ、計画が公式のものとなっている以上、不利益を被る人も出てくるはずです。
そういった補償もしていかなければならないと思います。

何故、こんなことになってしまったのか?
政府、自治体、行政当局は「被災者」のために汗を流していることと思います。
それなのに、被災者の定義を間違うとこういった問題が発生してしまいます。
在宅被災者も「被災者」という認識を欠き、様々な問題が被災地で起きています。
事前の説明会、相談会があったのか?行政はきちんと住民と向き合っていたのか?
それぞれの事情を考慮して、ひとりひとりに向き合ってきたのか?
被災者として大変な思いしていることに対する配慮はなされて来たのか?

人命は地球より重い・・・・いったい何時から、人の命が軽んじられるようになったのか?

震災直後、町長が言った言葉を住民は聞き逃しませんでした。
「千載一遇のチャンスがやってきた。」
600人以上の死者を出した、家族を亡くした住民は怒りに震えました。
この町長は人が見えていないのだと思います。

山元町町議会議員の何人かは、この問題を重く受け止めています。
とある議員は、「これは、命の問題だ。」と言っています。

河北新報、東洋経済はすでに記事にしました。
他の報道機関も精力的に取材を進めています。
こういった事例こそジャーナリストの正義が必要だと思います。
悪しき前例を作って、これがまかり通れば、明日は我が身の問題と成りかねません。

山元町は、情報公開請求も町民関係者以外できません。
閉鎖的な一面もあり、こういった問題が表に出にくい下地があります。
どうしてもコンパクトシティを実現したかった町は、町外に移転する被災者にも容赦しません。
本来、国の制度では被災者はどこで移転再建しようとも利子補給などの支援を受けられます。
国土交通省が示したガイドライン通りに支援策を実行している自治体がほとんどです。
山元町は、町外移転した被災者にこの制度を使わせませんでした。
こういった現実を知っていながら見逃す政府も同罪だと思えてしまいます。

津波は自然災害であきらめもつく。恨みごとを言うつもりはない。
しかし行政がやったことは、人の心を流した。許せない。
ある被災者が言った言葉が耳から離れません。

東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/109003 (二線提問題)
http://toyokeizai.net/articles/-/109203 (町外移転問題)

河北新報オンライン(紙面掲載)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160313_11022.html (二線提問題)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160305_13006.html (町外移転問題)

仙台在住のジャーナリスト松舘忠樹(元NHK社会部記者)のブログ「震災日誌in仙台」
http://sakura3411.at.webry.info/201409/article_4.html
http://sakura3411.at.webry.info/201409/article_5.html
http://sakura3411.at.webry.info/201603/article_2.html

いちご新聞・・・二年も前から問題提起されています。
第9号から経過を追えます。
http://www.kahoku.co.jp/special/kawara/

(2016年3月18日  チーム王冠代表 伊藤健哉)


コメントは受け付けていません。