【活動報告】衆議院院内学習会にて、在宅被災者の現状を報告


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・主題 :「在宅被災者」の実情と今後の支援のあり方を考える
・日時 :2015年8月28日(金)12:00~13:00
・場所 : 衆議院第一議員会館 地下1階
・主催 : 一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会
・参加人数:50~60名(途中参加、退席含む)

・取材メディア:朝日新聞社「GLOBE」 浜田陽太郎 論説委員
毎日新聞社 盛岡支局 近藤綾加 記者
毎日新聞社 仙台支局 伊藤直孝 記者
日本経済新聞社 編集局 産業地域研究所 川上寿敏 主任研究員
共同通信社 社会部 藤井康正 記者
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チーム王冠代表の伊藤は、現状報告として、主に次のことを述べました。

①在宅被災者が避難所に行かなかった理由
例えば神奈川県川崎市川崎区の事例を挙げると、行政指定避難所の収容可能人数は約3.5万人に対して、人口は21万人以上。この地域に津波が来たら避難所には入りきれない。
この例と同じことが、東日本大震災で、特に人口の多い石巻のような都市部で起きた。

【例1】石巻市のある小学校には当初1,500人の避難者が集まったが、生活場所としては入りきれず。今では、行政からなのか集まった人から出た話なのか確認はできないが、「ここに残るのは自宅流失で帰る場所がなくなった人だけにしたい。家が残った人は帰ってくれないか」という声が出たことで、1階は津波被害がありながらも、2階が残った人は自宅に帰った。
【例2】避難所となった2つの小学校の間を行ったり来たりしたが、結局入れず自宅に戻った。
【例3】要介護者や障がい者を抱えた家庭は、自宅に残らざるを得なかった。

②画像による実態の説明
4年半経っても、震災直後と変わらぬ生活をしている人が多く存在する実態。
【例1】災害後、市の計画道路にかかり、立ち退きになるかもとの噂から、自宅修繕を躊躇して4年半、お風呂トイレなし。耐え切れず半年前にアパートに引越。計画道路はまったく進まず。
【例2】自宅が県の防災道路にかかり、修繕を中断。隙間風がひどく、冬は家の中は氷点下。
【例3】震災で仕事がなくなった家族が家を出て、年配者一人暮らしのため家の修理は諦めた。自分の居室のみ修理、隣の部屋は土がむき出し。
【例4】震災直後にご主人が自殺。奥さんは痴呆の症状あり、自分の状況が分かっていない模様。泥まみれの家の中で生活。
【例5】高齢の姉妹2人住まい。壁に穴が開き、隙間だらけ。お風呂直せず銭湯通い。当人たちは困ってないと言う。
【例6】避難所にいたがご主人の体調が悪く自宅に戻った。年配のため使える制度が分からず。チーム王冠スタッフが相談にのり、制度を使って家の修理が少しできた。
【例7】50歳代夫婦、自営業者。震災前の税金滞納のため制度が使えず4年半。ゲジゲジやダンゴ虫、ムカデなど害虫が枕元でうごめくところで寝ており、奥さんが我々に窮状を訴えてきた。

③その他
在宅被災者の存在を知ったきっかけは、震災直後に食料支援をしていた時の、避難所の配膳担当の女性の訴えだった。避難所にいる人たちと、避難所の周りで住む人たち(在宅被災者)との間で、農民一揆さながらの「食べ物をよこせ」の争いの間に挟まれ、非常に怖い思いをしたと言う。
在宅被災者を探して回った時に受けた最初の衝撃は、津波をかぶった介護ベッドと布団におじいさんを寝かせ、おばあさんは目の焦点も合わず途方に暮れていたことだった。これを見た時、大変なことが起きたのだと分かった。
人は「在宅被災者は外から見て分からない」と言うが、歩いて探せば見つかる。我々は1軒ずつ歩いて回って在宅被災者を見つけた。
在宅被災者は被災者ではないと扱われ、当時のボタンの掛け違いから始まり、今も解消されていない。

伊藤の他にも数名の方が登壇し、全部で1時間と非常に短い時間ではありましたが、多くの方が在宅被災者の現状について「このままではいけない」との考えを表明されました。その一部をご紹介します。

・衆議院議員 真山 祐一 氏 (公明党)
復興庁の概算要求にも被災者支援のための制度も盛り込まれているが、制度を作っただけでは手が届かないのが問題の本質と認識している。サポートが一人ひとりに届くよう尽力したい。

・参議院議員 阿達 雅志 氏 (自民党)
今年6月に初めて、チーム王冠の伊藤氏から在宅被災者の話を聞いた。自身が参議院で委員をしている「東日本大震災復興および原発特別委員会」でも、それまでは在宅被災者の話は聞いたことがなかった。
政治的には、仮設入居者20万人の方に目が行っていた。在宅被災者はコミュニティーが壊れているために、現場から声が挙がることもなく気づきにくい状況だった。
「国の予算は地方自治体を経由する」仕組みのため、地元自治体自体が声を挙げないと予算を出せないという問題がある。
竹下復興大臣にも報告したところ、大臣は「在宅被災者に関しては政府としてもきちんと対応できていなかった」ということで「抜かった」との言葉を使われた。
現実的にはマンパワーの問題などで対応しきれない問題あるが、どこの地域にいても同じような支援が受けられることが大事。国が柔軟な制度を作ることも大事。

・復興庁参事官 牛島 授公 氏
7月にはチーム王冠の伊藤氏の話を聞いた上で、石巻市の担当者に会い、3者(牛島、石巻市、伊藤)で話し合いもした。そこでの概略は次の通り。
「今年度すぐにでもできることはないか」と石巻市に打診したところ、「今年度は状況を把握し、来年度の事業を検討する」との回答だった。
「市の給付事業の使い勝手の問題が判明したので、弾力的に使えないか、また立替払いは福祉の貸付金を出せないか」との提案には、「対応します」との回答を得た。

来年度の概算要求228億円(今年度は59億円)。被災地支援の大切な局面で、大幅に積み増しした。来年度もだが、今すぐにでもできることを被災3県を回って取り組む。

28年度新規事業として「心の復興」事業4億円が、概算要求額に盛り込まれている。生きがいやコミュニティーづくりのため。
チーム王冠の伊藤氏がコミュニティーバスを運行していたというのは共感する。自治体が公金で支援して欲しいが、なかなかできないこともあり、復興庁から直接支援させていただく。こういった支援を拡張しながら現場で対応できるように取り組む。

・阪神・淡路まちづくり支援機構 森川 憲二 氏(弁護士)
復興整備事業の問題がありつつそれなりに前進しているが、在宅被災者は完全に落ちこぼれている。その実態把握と救済のために必要なことを検討・対応することが重要。
「在宅被災者も復興する“まち”の構成員、住人である」、これは間違いのない事実なのだから、復興整備事業で復興しようとする人たちと同じように在宅被災者もコミュニティー形成・維持の一員とされなければならない。
(牛島氏のお話の)孤立しないよう住民同士のネットワーク作り事業に、災害復興交付金の重点が置かれていると知り、共鳴する。これからは住民間のネットワーク形成、生活環境の改善に視点を当てた施策も必要。
自分は日弁連の災害復興支援委員の一人。日弁連でも取り組みは弱かったが、今後この問題を訴えて行く。皆さんもそれぞれの機関で訴えて行くべき。

・一般社団法人 パーソナルサポートセンター(PSC) 代表理事 新里 宏二 氏
東日本大震災の1週間前、平成23年3月33日にPSCを設立した。
大震災後、阪神淡路の事例から仮設住宅の見守りに続き、仮設からの転居支援を行っている。
チーム王冠の伊藤氏の話を聞き、自責の念を抱くが、分かった以上は在宅被災者支援をきちんとしたい。挙げられない現場の声を吸い上げて共有することが大事。

先日、石巻市の亀山市長とも面会した。石巻だけでなく地元自治体と支援員、国会、復興庁が一体となり支援に乗り出さねばならない。
具体策として、伴走型支援を進めるべき。在宅被災者の支援センター的なものを作り、ニーズの掘り起こし、心のケア、求められることの確認、そして在宅被災者を支える体制が求められている。
4年半経っているのに、この日本で基本的な住居支援ができていない中で、本日広範な動きができたと思う。皆様とともに施策を進めて行きたい。


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